― 定期演奏会の記録 ―
指揮者・共演者の紹介(※指揮者/共演者の写真・プロフィールは演奏会当時のものです)
指揮 小松 一彦
1972年桐朋学園大学指揮科卒業。斉藤秀雄氏に師事。NHK交響楽団指揮研究員、旧西独ライン・ドイツ歌劇場副指揮者を経て1982年大阪の新しいオーケストラ、関西フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任した実力派で、短期間に関西フィルの演奏能力を飛躍的に向上させた手腕は高く評価され、1984年度大阪府民劇場奨励賞を受賞。1988年1月より関西フィル名誉指揮者に推挙される。
1978年NHK交響楽団を指揮して「幻想交響曲」その他で正式にデビュー。以来全国各地のオーケストラと共演を重ねる。オペラや現代曲の初演にも定評があり、1976年東京室内歌劇場「アルジェのイタリア女」でオペラデビューを飾ったのをきっかけに、各歌劇場で30本以上のオペラを手がけ、オペラ指揮者としての地位も確立。また、N響を指揮した音楽ファンタジー「もがり笛」でイタリア放送協会賞を受賞。 NHKテレビ「名曲アルバム」の指揮者として茶の間にも幅広い人気をもっている。
近年は海外での評価も高く、1986年9月には中国より招かれ、北京の国立中国放送交響楽団を指揮、大成功を収め、1987年より同交響楽団の常任客員指揮者に就任。さらにロシアの名門レニングラード(サンクト・ぺテルブルク)交響楽団の94年日本ツアーの指揮者に選ばれる等、その活動が現在最も目されている国際的な指揮者の一人である。
1989年より札幌交響楽団専属指揮者、1991年より大阪シンフォニカー首席客演指揮者、1990年より京都市立芸大講師、1993年より大阪芸大客員教授等を歴任している。
著書に『実践的指揮法』(音楽之友社刊)がある。
アマチュアの指導・育成にも情熱を注ぎ、フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団には、1991年より芸術顧問としてその指揮にあたっている。ラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲演奏や、小編成の演奏会『カザルスホールシリーズ』Vol・I、Vol・IIの企画など、同楽団に新たな転換をもたらしたものとして各方面より高い評価を得ている。
ソプラノ 大倉由紀枝
国立音楽大学卒業。東京芸術大学大学院修了。
古川美代子、柴田喜代子、柴田睦陸、ニコラ・ルッチの諸氏に師事。1978年、第13回民音コンクール第1位受賞。1979年、イタリアに留学。ミラノにてグァリーニ女史に師事。1981年「カプレッティ家とモンテッキ家」のジュリエッタでデビュー。
その後「ジャン二・スキッキ」のラウレッタ、「フィガロの結婚」伯爵夫人、「コシ・ファン・トゥッテ」のフィオルデリージ、「ホフマン物語」のソプラノの四役、「魔笛」のバミーナ、「チャルダッシュの女王」(ハイライト)のシルヴァ・ヴァレクス等を演じ好評を博す。
また、1990年2月の二期会創立40年記念公演「お蝶夫人」ではタイトル・ロールを演じる。コンサート活動lこ於いては、ベートーヴェン「第九交響曲」を始め、小澤征爾指揮によるマーラー「交響曲第二番(復活)」「交響曲八番(千人の交響曲)」「嘆きの歌」やハイドン「天地創造」、ヘンデル「メサイア」、ヴェルディ「レクイエム」、ブラームス「ドイツ・レクイエム」等幅広いレパートリーを持ち、特に1989年のN響定期オネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(若杉弘指揮)では聖女マルグリットを歌い絶賛されるなど国内外の著名な指揮者やオーケストラと競演している。日本を代表するソプラノの一人である。二期会会員。
メゾソプラノ 永井 和子
国立音楽大学卒業。同大学院修了。オペラ研究所第4期修了。中山梯一、伊藤京子、小松道子の諸氏に師事。第1回川崎静子賞受賞。第19回民音コンクール第1位。第1回グローバル東敦子賞受賞。第15回ジロー・オペラ賞受賞。1987年、シノーポリに見出され、サントリーホールオープン記念ロンドン・フィルハーモニー交響楽団公演「蝶々夫人」(演奏会形式)のスズキを見事に演じる。また、同じ役でベルリン・ドイツ・オペラにも出演し、国際的歌手としての地位を得る。その後、「シンデレラ」のタイトルロール、「セヴィリアの理髪師」のロジーナ、「カルメン」のタイトルロール、「イドメネオ」のイダマンテ、「運命の力」のプレツィオシルラ等で活躍を重ね、最近では、二期会創立40年記念公演「神々の黄昏」のフロスヒルデ、NHK「魔笛」(サヴァリツシュ指揮)の侍女、藤原歌劇団「セヴィリアの理髪師」のロジーナ等で絶賛を博す。
その他目覚ましい活躍としては、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場での「パルシファル」に出演。さらにローマ日本大使館に於けるリサイタル、また90年夏のフィンランド・ザウォンリンナ・オペラ・フェスティバルでの「お蝶夫人」のスズキ等々、国際舞台に映える有数のメゾ・ソプラノとして不動の地位を築いている。また、シノーポリとはマーラー「千人の交響曲」、ローマ・サンタチェチリアのホールでの「ワルキューレ」ヴァルトラウテ等の他、ロンドンにての録音でも共演しており、その音楽性は高く評価されている。ローマ日本文化会館に於けるリサイタルも好評であった。コンサートにおいても、モーツアルト「レクイエム」「戴冠ミサ」、マーラー「交響曲第三番」「大地の歌」、ベートーヴェン「第九」等でNHK交響楽団をはじめ、各オーケストラと共演し、常に安定した演奏を行っている。二期会会員。
テノール 川上 洋司
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院修了。オペラ研修所修了。渡辺高之助、栗林義信、高丈二、L.グワリーニ、P.M.フェッラーロの諸氏に師事。1984年から1987年までイタリアのミラノに留学。1985年、1986年〈ヴェルディの声〉国際コンクールに入選。1986年6月トーティ・ダル・モンテ国際声楽コンクールでマリオ・デル・モナコ賞受賞。10月ベッリーニ国際声楽コンクールに第3位入賞(1位なし)。1984年フィレンツェにおいて「ラ・ボエーム」に出演、主役ロドルフォを演じた他、1985年ミラノでコンサート形式による「ラ・ボエーム」のロドルフォを、1986年ヴィラフランカで「仮面舞踏会」のリッカルドを演ずる。1984年から1987年までにミラノをはじめ各都市において30回のコンサートに出演する。1987年7月ヴェルディの生地ブッセートにおいて夏のオペラ・フェスティバルに参加。イタリアの名テノール、カルロ・ベルゴンツィの代役として、「運命の力」のドン・アルヴァーロを演じ、絶賛を浴びる。1988年二期会公演「カルメン」でドン・ホセを、1986年「運命の力」でドン・アルヴァーロ、「椿姫」でアルフレッドを、1990年「お蝶夫人」でピンカートンを、と立て続けに出演し、張りのある美声と端正な歌唱でいずれも高い評価を得ている。1992年3月の二期会初の原語上演による「カルメン」でもドン・ホセで出演した。コンサートでも活躍しており、N響をはじめ主要オーケストラと、「交響曲第九」(ベートーヴェン)、「交響曲第八(千人の交響曲)」「大地の歌」(マーラー)、「テ・デウム」(ブルックナー)、「スタバト・マーテル」(ロッシーニ)他で共演し、好評を博している。二期会会員、東京芸術大学・東京音楽大学講師。
バス 福島 明也
東京芸術大学卒業、同大学院修了。文化庁オペラ研修所第5期生修了。1984年、第53回日本音楽コンクール入選、木下賞受賞。’85年、同コンクール第1位入賞、福沢賞受賞。第30回海外派遣コンクール特別表彰。’87年10月より1年間、文化庁在外研修員としてイタリア・ミラノへ留学。’92年、イタリア、サンタ・マルゲリータにおいて開催された、第10回Corsodi Canto で第1位、金メダル受賞。
オペラデビューは「ラ・ボエーム」のマルチェルロ。’86年、二期会「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵で本格的にデビュー、’90年の同公演にも同役で出演した。’89年、ヴェルディ「運命の力」のフラ・メリトーネ、トマ「ハムレット」のタイトルロールを高く評価され、第17回ジロー・オペラ賞新人賞を受賞した。また、’90年2月には、二期会創立40周年記念「お蝶夫人」のヤクシデを効果的に演じ、同年7月、フィンランドのサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバルにも同役で客演した他、特別演奏会にも出演し、見事な歌唱で絶賛され、国際的に高い評価を得た。
’91年には、モーツァルト没後200年にちなみ、「コシ・ファン・トゥッテ」のグリエルモ、「ドン・ジョヴァンニ」のタイトル・ロール、「魔笛」の弁者、'92年には、團伊玖磨「夕鶴」の運ず、ロッシーニ「なりゆき泥棒」のパルメ二オーネ、「セヴィリアの理髪師」のフィガロを演じた。また、秋には、ピエロ・カプッチルリ氏の代役として、マカオ国際音楽祭でジョイントコンサートに出演した。’93年4月にはモーツァルト「魔笛」のパパゲーノを演じ、7月には、二期会オペラ、ワーグナー「ラインの黄金」のヴォータンで出演。
コンサートのレパートリーも、ベートヴェン「第九」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト、ヴェルディ、フォーレの「レクイエム」、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、ブリテン「戦争レクイエム」等、多数に渡っている。須賀靖和、森山俊雄、ヴィルジニア・ボッロー二、ジェニー・アンヴェルトの各氏に師事。洗足学園大学・愛知県立芸術大学非常勤講師。二期会会員。
管弦楽 フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団
1976年、立教大学交響楽団OBにより結成しましたが、1979年には広く門戸を開き一般の社会人オーケストラの仲間入りをしました。
現在、110名の団員総出演でサントリーホール・東京芸術劇場等で大曲を発表する一方、カザルスホールシリーズとして、中編成までのオーケストラ曲を取り上げる演奏会も催し、多種多様な音楽との触れ合いに努め、宗教音楽等で合唱団との共演も積極的に行っています。
一昨年4〜5月のゴールデンウイークを利用して行った初の海外演奏旅行では、ニューヨーク・カーネギーホールで日本の社会人オーケストラとして初めて公演、日本のオーケストラとしては初めてと言われるほどほぼ満席の会場で、同行の麻生合唱団と柴田南雄氏(1992年文化功労者)の日本を代表する作品「ゆく河の流れは絶えずして」等を発表し、日本の知られざる文化的側面の紹介にも努めました。この他、ジャズピアニストの山下洋輔氏と共に演奏しましたガーシュイン(米)/ラプソディ・イン・ブルーもアメリカ人等から喝釆を浴びました。