松戸混声合唱団 Matsudo Mixed Chorus

― 演奏会 ―

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― 定期演奏会の記録 ―

2007年2月11日(日)

午後2時 開演

森のホール21・大ホール

松戸混声合唱団創立15周年記念/第12回定期演奏会

ビゼー テ・デウム
合唱とアリア オペラの花束

指揮:佐藤 寿一

管弦楽:浦和フィルハーモニー管弦楽団

ソプラノ:佐竹 由美 アルト:菅 有実子

テノール:横山 和彦 バリトン:黒田 博

合唱:松戸混声合唱団
児童合唱:新松戸少年少女合唱団

■主催:松戸混声合唱団 ■共催:(財)松戸市文化振興財団

■後援 松戸市教育委員会/松戸市音楽協会/松戸市合唱連盟/千葉県合唱連盟

プログラム・曲目紹介

ビゼー テ・デウム

  • Te Deum Laudamus 私はあなたを讃えます
  • Tu Rex Gloriae Christe 栄光なる王、キリストよ
  • Te ergo 主に願いまつる
  • Fiat misericordia tua 主の慈しみを与えたまえ

合唱とアリア オペラの花束

  • 鍛冶屋の合唱 〜ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」より(合唱)
  • 行け我が思いよ!金色の翼こ乗って 〜ヴェルディ「ナブッコ」より(合唱)
  • オレンジの花は香り 〜マスカー ニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(合唱)
  • 婚礼の合唱 〜ワーグナー「ローエングリン」より(合唱)
  • 海は穏やかだ 〜モーツァルト「イドメネオ」より(合唱)
  • 私の恋人を慰めてあげてくだ乱い
    〜モーツァルト「ドン・ジョバンニ」より(ドン・オッターヴィオのアリア)

モーツァルト「フィガロの結婚」より

  • 若い娘たちよ花をまけ(合唱)
  • もう飛ぶまいぞ この蝶々 〜フィガロのアリア
  • 愛の神様 慰めの手をさしのべてください 〜ロジーナのアリア
  • 恋とはどんなものかしら 〜ケルビーノのアリア

ビゼー「カルメン」より

  • 前奏曲
  • タバコ女工の歌(合唱)
  • ハバネラ 〜カルメンのアリアと合唱
  • クプレ・闘牛士の歌 〜エスカミリオのアリアと合唱
  • 行進曲と合唱 〜バリトンと児童合唱・合唱

J・シュトラウス?「こうもり」より

  • ぶどう酒の燃える流れに(シャンパンの歌)(アリアと合唱)

ビゼー『テ・デウム』神の恵みを感謝する賛歌

ローマ・カトリック教会の典礼はミサと聖務日課で構成されている。「テ・デウム」は中世以来、聖務日課のなかの朝課(夜明けの礼拝)で歌われてきたが、後に聖祝日の行列、司教の就任、君主の戴冠式や結婚式など感謝の儀式などでも歌われるようになった。その後、「テ・デウム」はプロテスタントの教会でも、イギリス国教会では英訳で歌われ、17〜18世紀にかけては国家的な祝祭行事の音楽として作曲された。例えば、ヘンデルはジョージ2世の戦勝記念に「テ・デウム」を祝典賛歌の曲として献上した。モーツァルト、ベルリオーズやブルックナーも「テ・デウム」を作曲している。

ビゼーは1838年10月25日パリで誕生した。10歳でパリ音楽院に入学。そこで近代フランス音楽の先駆者シャルル・グノーに師事した。そのグノーの影響を受けたビゼーは18歳でローマ大賞を受賞し、イタリアに給費留学する。ローマ滞在中(20歳)に賞金1,500フラン付きロドリゲス賞の獲得が狙いで「テ・デウム」を手掛けたが落選。理由は典礼文原典を勝手に改変したことにありという。何時の時代も先駆者に対し風当たりが強く、作品の真価が教会では当初認められなかった。

「テ・デウム」は旋律が晴れやかに喜び満ち溢れるなか、信じるものへの感謝の念が敬慶なる世界に導いていく、正に西欧の国家的祝祭行事で演奏するにふさわしい、輝かしい作品である。

オペラの花束

ヴェルディ作曲オペラ《イル・トロヴァトーレ》から

  • 合唱『鍛冶屋の合唱』(伊語)

15世紀初頭。スペインのビスカヤ地方。トロヴァトーレ(吟遊詩人)は12〜13世紀中期、フランス南部やスペインなどの王侯貴族の楽人騎士で、自作の詩と曲を歌った。ルカーナ伯爵の指揮官フェルランドの物語(トロヴァトーレの悲劇の発端はジプシー老婆の呪いと火焙り刑)で開幕。ジプシー達は力強く鉄床を叩き 合唱く鍛冶屋の合唱〉「仕事だ、仕事だ!カンと打て!」と歌う。

ヴェルディ作曲 オペラ《ナブッコ》から

  • 合唱『行け我が思いよ!金色の翼に乗って』(伊語)

史実と旧約聖書での記述に基づく紀元前6世紀の物語。古代バビロニアの王ナブッコ。敵国ソロモンの宮殿の中ではヘブライ人たちが、ナブッコ軍の攻撃を恐れ大騒ぎ。バビロニア軍にはナブッコが奴隷に生ませた娘アビガイッレもいる。彼女はヘブライ人たちを絶滅させ、ナブッコの王位を自分のものにと野望を抱き王座を奪う。父ナブッコは逮捕され幽閉。バビロニアのユウフラテス河畔でヘブライ人捕虜たちが、自由になる日を夢見ながら祖国への憧れ、合唱〈行け我が思いよ!金色の翼に乗って〉を歌う。

マスカーニ作曲 オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》から

  • 合唱『オレンジの花は香り』(伊語)

19世紀末。シチリア島の村の教会前広場。復活祭の朝、教会の鐘の音が響きわたる。村人たちは春の爽やかな季節を諾え、合唱〈オレンジの花は香り〉を歌う。トゥリッドゥは兵隊に行く前ローラを愛していた。除隊して帰ってくると、もうローラは馬車屋アルフィオの妻。両人は決闘に至ってしまう。カヴァレリア(騎士道)・ルスティカーナ(農民的な)は南イタリアを舞台としたヴェリズモ・オペラ(現実派オペラ)の代表作品。

R.ワーグナー作曲 オペラ《ローエングリン》から

  • 合唱『婚礼の合唱』(独語)

10世紀前半。アントワープ。ブラバント公国の遺児・姉のエルザ王女と弟のゴットフリート。魔法と陰謀によりエルザの弟暗殺説、夢に現れた騎士が冤罪を晴らしてくれようと裁判で答える。突如、神々しい光に包まれ、白鳥の曳く小舟に乗った騎士が現れる。自分の氏素性を決して尋ねない禁句条件で、騎士はエルザのために戦い、彼女の潔白を晴らす。二人は合唱 〈婚礼の合唱〉が奏される中、祝福される。騎士は「私は聖杯を守るパルジファルの王子ローエングリン」と身分を明かす。魔法は破られ白鳥は弟ゴットフリートの姿に戻る。ローエングリンは人々の前から永遠に去り、エルザは息絶える。台本は作曲者自身がエッシェンバッハ「パルチファル」の説話や「ドイツ伝説集」などを素材に戯曲化したもの。

モーツァルト作曲 オペラ《イドメネオ》から

  • 合唱『海は穏やかだ』と『エレットラ』のアリア(伊語)

紀元前1200年頃。トロイ戦争終結直後のクレタ島。クレタの王イドメネオ。息子王子と囚われ人である敵国トロイの女王イリアとは相愛の仲。一方アルゴスの王女エレットラは王子に恋をしている。戦闘に出ていたイドメネオが海難から一人奇跡的に生還できた裏には、海神ネプチューンの怒りを鎮めるための駆け引きがあった。息子の運命に苦悩するイドメネオは息子をエレットラと共にアルゴスに逃がそうとする。シドンの港。船乗り達は二人の船出に合唱〈海は穏やかだ さあ行こう〉を、喜びと共に航海の平穏を願うエレットラはアリア(S)〈やさしい西風よ〜〉を歌う。

モーツァルト作曲 オペラ《ドンジョバンニ》から

  • 『ドン・オッターヴィオ』のアリア(伊語)

17世紀、スペインのある町。騎士長の屋敷前庭。放蕩者貴族ドン・ジョバンニと従者レポレロ。騎士長の娘ドンナ・アンナと婚約者ドン・オッターヴィオ。ドン・ジョバンニはドンナ・アンナを狙うが騒がれ、駆けつけた騎士長を刺殺したが顔は見られず逃亡。復讐は間も無く果たすとドン・オッターヴィオはアリア(T)〈私の恋人(ドンナ・アンナ)を慰めてあげてください〉と歌う。

モーツァルト作曲 オペラ《フィガロの結婚》から

  • 合唱と『フィガロ、ロジーナ、ケルビーノ』のアリア

17世紀中頃。セビリヤに近いアルマヴィーヴァ伯爵の館。伯爵の従者フィガロと伯爵夫人ロジーナの侍女スザンナは婚約中。伯爵は初夜権を復活させ、婚礼前にスザンナをものにしようと企む。それに気づいた二人はロジーナと小姓ケルビーノを巻き込んで先手を打ち、内面は皮肉に伯爵の徳を請え合唱〈若者たちよ、花をまけ〉を歌い、悪巧みを見事にばらす。ロジーナに恋慕のケルビーノの軍隊行きをからかうフィガロはアリア(Bs)〈もう飛ぶまいぞ この蝶々〉をロジーナはアリア(S)〈愛の神様 慰めの手をさしのべてください〉を、ロジーナへの恋心をケルビーノはアリア(S)〈恋とはどんなものかしら〉を歌う。

ビゼー作曲 オペラ《カルメン》から

  • 前奏曲
  • 合唱と『カルメン、エスカミリオ』のアリア

1820年頃、セビリア地方。前奏曲。

第1幕:たばこ工場前。鐘の合図で、合唱〈たばこ女工の歌〉。若者たちのお目当てはカルメン。合唱〈カルメンお前の笑顔を お願い見せて!〉と夢中。自分を無視するドン・ホセの気を引かせようとカルメンはアリア(A)〈ハバネラ〉を色っぽく歌い、「アカシアの花」を投げつけ挑発する。

第2幕:酒場で男たち、カルメン、ジプシー女たちが酒と歌と踊りを楽しんでいる。花形闘牛士エスカミリオはアリア(Br)〈闘牛士の歌〉を歌い、トレアードル(闘牛士)の勇ましく闘う場面を物語る。

第4幕:闘牛場前広場。合唱〈行進曲と合唱〉。闘牛士たちが次々と登場。子供たちと群衆は合唱〈来たぞ、そら闘牛士だ!輝く槍の先、空に投げろ帽子を〉と興奮。警備のお巡りさんの行進に合唱〈威張り散らすのはしかめ面のお巡りだ、さあ行け!〉と罵り、バンデリリュロス(牛突き闘牛士)、ピカドール(槍使い闘牛士)やエスパーダ(剣士)たち、特に注目の闘牛士エスカミリョの登場に合唱〈ブラヴォ!ヴィヴァ!〉と叫び熱狂する。

J.シュトラウス2世作曲 オペレッタ《こうもり》から

  • 合唱『ぶどう酒の燃える流れに』

19世紀中頃。オーストリアのオルロフスキー公爵邸で華やかな仮装舞踏会。招待客の地主アイゼンシュタインはルーナ公爵に、地主夫人ロザリンデは素顔を仮面で隠しハンガリーの伯爵夫人に、召使アデーレは女優オルガになりすます。公証人・ファルケ(あだ名はこうもり)はかつて地主に恥をかかされたことがある。日々退屈している主催者公爵に、茶番劇「こうもりの復讐」をやると密かに漏らす。地主の女癖の本性が暴露され、公爵は茶番劇にご満悦。晩餐会は賑やかに盛り上がり公爵、地主、召使と全員で合唱〈ぶどう酒の燃える流れに〉を歌い、一同は〈乾杯!乾杯!杯を上げよ、上げよ!〉と陽気に騒ぐ。

(文・神谷一夫)

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