― 定期演奏会の記録 ―
指揮者・共演者の紹介(※指揮者/共演者の写真・プロフィールは演奏会当時のものです)
指揮 河地 良智
桐朋学園大学指揮科に学び、斎藤秀雄、秋山和慶氏に師事。1973年、第3回民音指揮コンクール入選、奨励賞受賞。1975年、群馬交響楽団正指揮者に就任。その後も東京交響楽団、東京都交響楽団、東京フィル、新星日本交響楽団、東京シティ・フィル、二期会合唱団などの指揮台に立つ。
1981年から東京室内歌劇場、ステファノオペラ劇場、二期会などで「アンジェリック」「ラ・ボエーム」「カヴァレリア・ルスティカーナ」「アンジェリカ」「コシ・ファン・トゥッテ」「魔笛」「青ひげ公」「蝶々夫人」「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」「こうもり」などを指揮。1983年より、文化庁派遣員として、バイエルン国立歌劇場において、W.サヴァリッシュ氏に、ミラノ・スカラ座において、G.パタネ氏に、バイロイト祝祭歌劇場において、W.ワーグナー氏に、プラハ国立歌劇場において、Z.コシュラー氏に、と積極的に歌劇場での経験を積む。
1985年、二期会オペラスタジオ・東京フィル「魔笛」公演を指揮。また、台北首都歌劇団に招かれ、台北市にて「蝶々夫人」を指揮。1986年、モーツァルトのピアノ協奏曲全曲演奏を7年かけ完遂し、注目を浴びる。また、再び台北首都歌劇団の「蝶々夫人」を指揮。1987年、モーツァルト劇場「ドン・ジョヴァンニ」、東京室内歌劇場「チェッキーナ」の初演を指揮。1988年、ガッツァニーガの「ドン・ジョヴァンニ」の再演、東京モーツァルト・オペラシアターのモーツァルト・オペラ全曲公演の第1回「フィガロの結婚」を指揮。
1989年4月、日・米・伊共同国際ワークショップにおいて、「蝶々夫人」のプレジャ版初演を指揮。10月には、二期会渡欧公演に同行、ベオグラード・フィル、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団を指揮。帰国後、モーツァルト「コシ・フアン・トゥッテ」「バスティアンとバスティエンヌ」「ツァイーデ」などを指揮。
1991年1月より、音楽之友社の企画する「モーツァルト・オペラ全曲シリーズ」の音楽監督として、モーツァルトのオペラを全曲指揮。1992年3月、東京モーツァルト管弦楽団の中国上海公演を指揮。5月には、フィルハーモニック・アンサンブル管弦楽団のニューヨーク公演(於カーネギーホール)などを指揮。
現在、洗足学園大学教授、東京芸術大学講師、二期会オペラスタジオ講師として、後進の指導にもあたっている。
ソプラノ 澤畑 恵美
国立音楽大学卒業、同大学院修了。文化庁オペラ研修所第7期生修了。佐藤峰子、別所恵子の両氏に師事。
1990年より1年間、文化庁在外研修員としてイタリア・ミラノへ留学し、歌唱をマリア・ミネット、発声をラウラ・ロンディの各氏に師事。
早くからその才能は評価され、オペラ研修所修了後直ちに二期会オペラ公演「フィガロの結婚」のスザンナに抜擢されデビュー。高度な音楽性と華のある舞台姿は鮮烈な印象を与え、“大型新人の誕生”と注目を浴びる。
その後も「コシ・ファン・トゥッテ」のフィオルディリージ、デスピーナ、「フィデリオ」のマルツェリーネ、「椿姫」のヴィオレッタ、「カルメン」のミカ工ラ、「蝶々夫人」の蝶々夫人、「春琴抄」の春琴、「こうもり」のアデーレなど多くの公演に出演し、いずれも好評を博している。
コンサートでも「ミサ曲」「レクイエム」「第九」などのソリストとして主要オーケストラとの共演も数多く、次代のオペラ界の担い手として大きな期待を寄せられている。
1989年/第58回日本音楽コンクール声楽部門第1位。福沢賞、木下賞、松下賞を受賞。1993年/第21回ジロー・オペラ賞受賞。二期会会員
ソプラノ 大橋 ゆり
東京芸術大学卒業。同大学院修了。オペラ研修所第7期修了。戸田敏子に師事。第5回グローバル東敦子賞受賞。1991年より文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーンへ留学。ヒルデ・レッセル=マイダンのもとで研鑽を積む。
モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィラ、「コシ・ファン・トゥッテ」ドラベラ、「皇帝ティトの慈悲」アンニオ等を演じる。
コンサートでは、N響はじめ主要オーケストラでシューマン「楽園とペリ」、オネゲル「ダヴィデ王」、R.シュトラウス「サロメ」、シェーンベルク「モーゼとアロン」、モーツァルト「レクイエム」「戴冠ミサ」「ハ短調ミサ」、ベートーヴェン「第九」「ミサ・ソレムニス」、メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」、マーラー「交響曲第8番」、ヴォーン・ウィリアムズ「海の交響曲.等、ソリストとして出演。
最近では仙台フィル定期演奏会(外山雄三指揮)で「トスカ」のタイトルロール及び「ラ・ボエーム」のミミを歌い、新境地を開いた。
優れた音楽性と伸びやかな美声で高い評価を受け、これからの活躍が期待されている。二期会会員。
テノール 吉田 伸昭
東京芸術大学卒業。同大学院修士課程終了。1988年よりザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学に留学。留学時はザルツブルク・フランツィスカーナ教会専属歌手として「1990年ザルツブルク国際モーツァルト週間」にてミサ曲のソリストをつとめるなど、主に宗教曲の分野で活躍。
帰国後は二期会「ポッペアの戴冠」「フィデリオ」「学生王子」「ジャンニ・スキッキ」「魔笛」「カルメン」を始め東京オペラ・プロデュース「ロミオとジュリエット」(テバルト)「ベアトリスとベネディクト」(ベネディクト)、東急Bunkamura「マダム・バタフライ」、東京室内歌劇場「劇場支配人」「カイロの鷲鳥」の他「カルメン」(ホセ)、「ドン・ジョヴァンニ」(オッターヴィオ)、「フィガロの結婚」(バジリオ)、「こうもり」(アルフレード)、「エトワール」、さらに台湾にて「フィデリオ」「道化師」「カブレーティとモンテッキ」「トゥーランドット」等のオペラに出演。またヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」「戴冠ミサ」、ハイドン「天地創造」、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」、ブルックナー「テ・デウム」等の宗教曲や「第九」のソリストをつとめた他、NHK=FM「土曜リサイタル」、テレビ朝日「題名のない音楽会」出演など、演奏活動は多岐にわたる。
1994年、大友直人指揮、東京交響楽団のポルトガル公演にてルイジ・ノーノの「愛と生命の歌」を歌うなど、各オーケストラとの共演も多い。最近では、「ボエーム」ロドルフォ、「ドン・ジョヴァンニ」(オッターヴィオ)、ヴォルフの作品によるリサイタル、日フィル定期「ロミオとジュリエット」等に出演し、好評を博した。
1990年、第6回日仏声楽コンクール第2位(1位なし)、1992年、第4回日本声楽コンクール入選、ならびに田中路子賞受賞、日本演奏連盟オーディション合格。三林輝夫、R.クノール、P.シルハウスキーの各氏に師事。二期会会員、日本フーゴー・ヴォルフ協会同人、平成7年度文化庁芸術インターシップ研修員。
バス 太田 直樹
東京芸術大学卒業、同大学院修了。
1986年国際ロータリー財団奨学生としてシュトウツトガルト音楽大学に留学。ドイツでは、バーデンバーデン、ハイルフロン、シュトゥットガルト他の各地でコンサートやオペラに出演する他、ヘンツェ、リゲティ等の現代作品のオペラにも出演。リート科、オペラ科を修了し、1989年帰国。
帰国後オペラ研修所第8期で「コシ・ファン・トゥッテ」「チェネレントラ」他に出演。修了後二期会会員となり、「フィデリオ」「学生王子」に出演する他、「アルジェのイタリア女」(東京室内歌劇場)をはじめ「魔笛」「フィガロの結婚」「ボエーム」等に出演。バッハのカンタータや受難曲、ヘンデル「メサイア」、フォーレ「レクイエム」等のソロをつとめる他、ドイツリートを中心としたリサイタルも多く、94年11月、95年2月、96年2月には、シューベルト「冬の旅」の全曲演奏会をおこなった。
伊藤亘行、ギュンター・ライヒ、コンラート・リヒターの各氏に師事する他、エルンスト・ヘフリガー氏のマスタークラスを受講。二期会会員。
管弦楽 東京モーツァルト室内管弦楽団
1978年、宮田隆氏(現支配人)が、指揮者の河地良智氏、ピアニストの渡辺達氏らと共にモーツァルトのピアノ協奏曲全曲演奏を目的に「東京モーツァルト室内管弦楽団」を創設。
1979年の第1回公演以来1986年までの8年間に特別演奏会を含む計14回の演奏会を行い、絶賛の内に当初の目的を達成した。
解散した翌年1987年、日本を代表する多くの国際的オペラ歌手の協力を得て組織を拡大し、再結成したオーケストラを中心とする「東京モーツァルト・オペラシアター」を設立。アマチュアオーケストラとして(おそらくプロ、アマ通じて)初めて、モーツァルトのオペラ全22曲を全て完全上演するという15年に及ぶ壮大な企画に着手して現在に至っている。
オルガン 榎本 潤
1968年、東京都生まれ。国立音楽大学ピアノ科を経て1992年、同大学院を修了。これまでにピアノをタン・タイ・ソン、柳川 守の各氏に、ピアノ、チェンバロ、室内楽等を小林道夫氏に師事。1988年、東京イイノホールにてモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏。1991年、日本ピアノ教育連盟主催の第7回ピアノオーディション全国審査にて入選。1992年より、母校の干葉東高音楽部の指揮を務め、同年、第45回全日本合唱コンクール全国大会(仙台)への初出場を果たし銀賞を受賞。更に1995年、第48回同コンクール全国大会(高松)に駒を進め銅賞を受賞。1994年、ピアノ・ソロリサイタルを千葉にて、1995年には十和田市にて開催。1995年より、錦織 健(テノール)&足立さつき(ソプラノ)“恋の気分”のピアニストとして全国を縦断。また、チェンバロ奏者としては、1994年、東京ゾリステンの海外公演(フランス、ポーランド)に参加。1995年には、オーチャードホールにてモーストリー・モーツァルトフェスティバル’95に出演、ナージャ・サレルノ・ソネンバーグ(ヴァイオリン)とヴィヴァルディの「四季」を共演。更にオーケストラ曲のオルガン奏者としても多くのレパートリーを持つ。1996年、第34回北九州芸術祭にて優秀伴奏賞(満場一致による1名のみの受賞)、全日空賞を受賞。
繊細で美しさを追求した音と音楽性には定評があり、伴奏・室内楽奏者としての活動を年々広げている。これまでに小林氏との共演のほか、古澤巌氏(ヴァイオリン)、赤坂達三氏(クラリネット)、工藤重典氏(フルート)など各地にて著名アーティストとの共演を重ねる。松戸混声合唱団など5つの合唱団の指導・ピアニストの他、後進の指導にも力を注いでいる。